2008

06.22

« 童話『ゆめみるはっぱ』 »

daikon1.jpg

「わたし だいこんのはっぱ
 あるひ ヒロムさんが
 かってきた だいこんの あたまをきって
 そのまま すてずに みずにつけてくれたから
 わたしは このよに うまれてこれたの 

 だからとっても しあわせよ

 どんどん どんどん おおきくなって
 あの そらへ ちかづきたいな

 はっぱも もっと しげらせて
 たいようの ひかりを いっぱいあびて
 いつか おおきな もりになって

 ああ! なんて すてきな みらい!」


そこへ ひょっこり やってきたのは…

daikon2.jpg

ハック「む? うまそうな はっぱ めっけ!」


「きゃあああああ!!!!!
 あたしの じんせい ここまでなのねー!!
 くーちーおーしーやー!! ガッデムーッ!!」


だいこんの はっぱは あっというまに
ハックの おなかに おさまったとさ。


おしまい



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    2008

05.10

« 小説『透明な男』 »

修行のため山に登ってきました。(往復1時間半)

何だか筋肉痛な週末なので、また
1行1行、思いつくままに小説でも書いてみます。
次の行がどうなるか自分でも分かりません。
全くヤマなし・オチなし・意味なし。
でもやおいではないです。

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よほどの事がない限り、岡島は外に出ない。
こんな雨の日はなおさらである。

彼は休日になるといつも自宅のリビングで過ごす。
自宅でくつろぐのが好きというよりは
外に出るのが好きではなかったのである。
通販で買った安物のソファに座りテレビを観る。
横になって音楽を聴くだけの時もある。
お気に入りのCDを10年もののコンポで静かに鳴らす。
近所に迷惑をかけないように。

それは岡島の生き方そのものであった。

贅沢でもなんでもない、気ままで穏やかな時間は
彼にとってはささやかな幸せだった。
携帯電話はあるが、電源は切りっぱなし。
入れておいたところで鳴ることはまず無かった。
持たなくても良いくらいだが、仕事では使うので
仕方なく所有しているという程度である。

彼には欲がない。
恋人はもちろん、友人もいなかった。
シンプルというよりは殺風景な味気ない部屋には
訪ねてくる者もおらず、
隣人とも顔を合わせることがまずないので
彼の存在感というものは、この世界にまるで、無い。
職場でも必要時以外は会話を交わすこともなく
きっと、いつ辞めても誰も気には留めないだろう。
そんな空気のような存在が、岡島だった。

マンションの6階で暮らす彼はベランダから
時々、飛びたい衝動に駆られる。
身体が宙に浮いてから、
あの地面のアスファルトに達するまでの
1、2秒のあいだはどんな気持ちになるのだろうか。
怖いと思いながら落下してゆくのか、失神するのだろうか、
やはり過去が走馬燈のように脳裏に蘇るのだろうか。
痛みは一瞬だろうか、涙は出るだろうか…
最期の瞬間を想像すると、心臓は早鐘のように脈打つ。

俺はこの世に居なくてもいいのではないか。
明日を生きることに意味なんてあるのだろうか。
そんな考えが時折、ベランダの手すりに彼の手をかけさせるのだが
すぐに、後を片づける者を困らせてしまうかもしれないと考え、
思い直して彼は部屋に戻りテレビをつける。
たまたま選ばれたニュースが映し出すのは連休終わりの、
疲れた旅行客へのくだらないインタビュー。
それでもそこにはほんの少しだけ、
社会と彼をつなぐ時間が生まれる。
そこで彼は社会の人々を知ることができるが、
モニターの向こうの人々は岡島のことを知らないままだ。

片隅に生きる人間は大勢いる。
孤独なのは自分だけじゃないと思うので寂しくはない。
ただ、つまらない生き方を選んでしまったな、と
後悔はしている。
しかしそれを変える努力もしないのが彼であった。

日付が変わる頃、彼はベッドに入り横になる。
明日からまた乾いた時間が続く。

俺に来世があるなら、もう人じゃなくていい。
人間の世界なんて真っ平だ。

そんなことを考えながら、眠りにつく。
カーテンの隙間からは高速道路の灯りが差し込んでいた。
彼の頬をオレンジ色に照らす。
彼のためではない灯りが、彼にも慈悲のように届く。


その晩、
地球の遠く、遙か彼方に新しい星が産声をあげた。

何億年もの時を経たのち、
その星に海、そして生命が誕生し、
やがて文明が築き上げられ、頂点に君臨する王が現れる。

それが来世の岡島だと、彼はまだ知らない。




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    2008

03.26

« 小説『よし子の、とある休日』 »

何だかアンニュイな丑三つ時なので、
1行1行、思いつくままに小説でも書いてみます。
全くヤマなし・オチなし・意味なし。
読まなくていいです。

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よし子は、皿洗いをしながら、ふと思った。
「アインシュタインの相対性理論と
 ダーウィンの進化論は、どちらが難しいのかしら」

博識の友人、烏帽子田なら私の疑問に
きっと明快に答えてくれるに違いない。
さっそくよし子は受話器を手に取ったが、
すぐにかけるのを諦めた。
なぜならよし子はもう半年以上、電話料金を
払っていなかったのである。

「ガッデム」

それならば、とよし子は広辞苑を手に取り
答えを求めてページを捲った。およそ2時間と20分。
ただ指先と、喉が乾いただけだった。

「答えなんて見つかりゃしない。
 いつだってそう、人生っていつだってそう」

ペットボトルの水を飲みながらよし子は考える。

「X JAPANが復活コンサートをするらしいけど、
 『破滅に向かって』とか『破壊の夜』とか、
 つまりはいったい何なのかしら。
 そこに意味はあるのかしら。あるのかしらね」

そんなことを考えるうち、窓を通して塀の上を
小太りの黒猫が悠々と歩いているのが目に入った。
ああ、またあいつがうろうろしてやがる。
私のサンマを横取りしたあいつ。
私の彼を寝取ったあいつ。
私の幸せを奪った…

いつしかよし子は、呪詛のような言葉を
口にしているのに気づき、恐ろしくなって我に返った。

「ああ、こんな日は出かけるっきゃないわ。
 お気に入りのバッグはどこかしら」

バッグはソファの上に服や靴下と一緒に
無造作に置かれていたが、見つけることは容易かった。
よし子は視力が6.0だったので。

玄関に向かうと、
ふと靴箱の上の花瓶に生けたバラの花が、
その花弁を2枚3枚と落としているのに気づく。
残っているものもすっかり色褪せて、
もはや枯れるのを待つのみといった風情である。

「私もこのバラのようなものなのかしらね。
 あら、それってダイアナみたいでも、あるかしら。
 命短し恋せよ乙女。くわばらくわばら」

そんな事をつぶやきながら、よし子は扉を開けた。
まぶしい陽光に一瞬、目が眩みそうになる。
外の世界はこんなにも美しかったのか。
明るいのは太陽なのか、それとも私の未来か。
よし子は生き返ったような気がした。
というか、本当に生き返ったのである。

なぜならよし子は、ゾンビだったので。




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